INDEX BACK NEXT 【桜の花の舞う頃】 96.春　２版４色 　桜の花の咲く頃、体の具合が悪く、いつも寝てばかりいる日々でした。お茶の水まで病院通いをしていました。ある朝、新聞を読んでいました。声の欄というページに、 ”たった２行だけれど「桜の花が今年も咲き始めました」というホテルの広告を今年も見ました。その広告を見ると東京の息子が桜の花の下でがんばっているのだと思い、毎年その広告を楽しみにしている” というようなことが書いてありました。その広告が見たくて古い新聞をとりだしてさがしました。ありました。３面記事の下にひっそりと・・・。私はそのホテルへ行ってみたくなりました。でも無理だと思っていました。夫の「病院の帰りにでも行ってきたら・・・」という言葉に甘えて、車でそのホテルへと行ってきました。歩くのもつらい程の私でしたが、食事をしながら桜をみていました。桜はひらひらと花びらを散らしていました。私はうっとりとしてみつめていました。幸せな一時でした。 少し体の具合が良くなって、その時の情景をイメージして作った春の便りです。